2013/04/30

<รถไฟความเร็วสูง>หรือ<ชินคันเซน>


<高速鉄道><新幹線>

これまではタイの輸送手段を大きく変える鉄道を新幹線と書いてきたが、実際のタイ語ではรถไฟความเร็วสูงHigh-speed Train)ということで高速鉄道である。しかしこの高速鉄道は約300km/hで走るということで次の日本の新幹線の定義に合わせて新幹線と呼ぶことにする。またタイの従来の路線は電気ではなくディーゼルなので高速鉄道は全く新しい幹線ということになるだろう。またタイの人たちは短く呼ぶのが好きなのでรถไฟความเร็วสูงという長いのよりชินคันเซนという短いのが定着するような気がして楽しみである。

新幹線鉄道は「その主たる区間を列車が200キローメートル毎時(以下km/h)以上の高速度で走行できる幹線鉄道」

新幹線の計画についてはソーノーコーと短縮して呼ばれる交通輸送計画方針事務所がバンコクーチェンマイ、バンコクーノーンカーイ、バンコクーフアヒンの3路線について詳細な計画を練っているということである。そしてEIA environmental impact assessment 》環境アセスメントと呼ばれる環境問題については5月か6月には報告が出てくるということである。いずれにせよ当初はバンコクーチェンマイ、バンコクーノーンカーイの2路線が優先されるようである。第1期工事はバンコクーピッサヌローク、バンコクーナコンラーチャシマーから着手して1年後の第2期工事でピッサヌロークーチェンマイ、ナコンラーチャシマーーノーンカーイで2路線の完成は同時になるということである。

すべてが順調に行き工事が始まれば問題はないということであるが北部線と東北部線では路線工事の障害で違いがあるということである。北部線についてはバンコクーピッサヌロークの第1期工事が平野部を通ることで簡単で第2期工事のピッサヌロークーチェンマイは山がありトンネルを作る必要が出てくるので困難であるということである。また東北部線についてはバンコクーナコンラーチャシマーの第1期工事がトンネルを作る必要が出てきて困難でそれ以降のナコンラーチャシマーーノーンカーイでは簡単で直線コースで行けるということである。そして完成時にはローコストエアーラインがバンコクーチェンマイ間を飛ぶようになってからは観光客が増えたことを考えれば新幹線ができることによる地元への利益は計り知れないということである。


2013/04/29

<นักมวยไล่ชกกรรมการ>หรือ<กรรมการไล่ชกนักมวย>

<ボクサーが審判を追いかけて殴る><審判がボクサーを追いかけて殴る>

タイトルは先ほどの立法定例会期の第一読会を通った条項ごとの憲法改正に対して憲法裁判所が憲法68条を適用するか検討すると表明した結果、反対する赤服の一部の集団が憲法裁判所近くで集会を開催していることに対しての9人いる憲法裁判所判事の一人であるジャラン・パックディータナーグン判事の発言である。この後、憲法裁判所は予想されたとおり集会での演説が憲法裁判所を侮蔑するものだとして警察に訴えている。集会を続けている団体としては昨年の国会での291条にもとづいた憲法の全面改正が憲法裁判所の判断で中断させられ、その判断の見解では条項ごとの憲法改正を勧めるという憲法裁判所の意見を元にしてでてきた条項ごとの憲法改正がまたもや憲法裁判所から横槍が入った怒りを収めることができずに集会により憲法裁判所に圧力をかけて行くということだろう。また立法機関は今回の憲法裁判所の横槍を前回のようにはおとなしく受け止めずに挑戦して行く態度を取り始めている。立法機関の立場としては憲法改正という立法行為は国会の業務で憲法裁判所には介入する権利はないとしている。今回もだが憲法裁判所は立法、行政、司法というバランスを崩そうとしている判断に行き着いたのだろう。タイトルで言えば両方共が間違っていて憲法裁判所はリングに上がる権利はないということだろう。

一方の憲法裁判所としては憲法裁判所&民主主義の戦いが厳しくなってきたという判断であろう。しかし2550年憲法を固守しようとして国民が選んだ政権を2度も潰し軍の施設から民主党アピシット政権を誕生されるのに力を貸した独立機関の一つである憲法裁判所としては2550年憲法とクーデター以降の体制を守っていくのが使命であるはずで頭のなかには国民と民主主義という考えはないだろう。そしてはっきりと想像できることはタイラックタイ党そしてパランプラチャーチョン党を解党して次はプアタイ党の解党という使命がつきまとうクーデター体制を守っていく政治裁判所ということだろう。



2013/04/28

<พรรคพัฒนา>กับ<พรรคความกลัว>


<開発党><恐怖党>

420日に終わった立法定例会期にあわせて与党プアタイ党は全国各地で<เพื่อไทย เพื่ออนาคตประเทศ2020>プアタイ 2020年タイの未来という集会を開催して国民に今回の立法定例会期で問題になった次の3法案を説明するということである。
1,タイの将来を変える<2020年タイランド法>
2,条項ごとの憲法改正
3,恩赦法
この3法案は民主党を始めとしたクーデター勢力からの強い反対に直面していてプアタイ党としては国民に3法案は国民と国の利益になるということを十分に理解してもらい支援を強くしたいという意向のようである。一方の民主党は2555年から始めた<ผ่าความเจิง>という集会を赤服が多いイサーン(東北地方)で開催して各地で赤服から反対と避難を浴びているようである。これに対して民主党は民主主義を持ち出し赤服は集会の自由を妨げていると言っているが、2553年の民主党政権による赤服集会鎮圧で99人の死者と2,000人の負傷者を出したが、この中にはイサーン地方の人が多く含まれ実際に親戚、知人が被害者になった当地の人々は民主党を許すことはできないだろうし、未だに何の謝罪もないことを考えると民主党がイーサン地方に来て避難されるのは当然のことであろう。<ผ่าความเจิง>真実を切り開くという集会に於いての民主党の真実とは2553年の被害者は家を燃やして国を燃やしたテロリストであると一貫して主張しているが、これらの主張が民事裁判、刑事裁判において虚偽であったことが証明され始めている状況では、民主党がスローガンにする<ผ่าความเจิง>とは<真実を粉々にして虚偽を生み出す>というスローガンの集会のようである。

さて<เพื่อไทย เพื่ออนาคตประเทศ2020>プアタイ 2020年タイの未来という集会であるが27日は赤服の拠点と言われるウドンタニーで開催されたがこれから先の予定は次のとおりである。
428日 コーンケーン 511日 ナコンラーチャシーマー 512日 ウボンラーチャタニー 61日 チエンラーイ 62日 チエンマイ 68日 ピサヌローク 69日 アユタヤ 615日 ラヨーンそしてバンコクから南部へ続いていくようである。ウドンタニーでの集会ではチャチャート・シティパン運輸大臣がタイの将来を変える<2020年タイランド法>について説明をしていたが内容ではやはりプアタイ党はタクシン元首相のタイラックタイ党の血を受け継ぐ強力な開発党であると再認識した。では一方の民主党はどうかというと反開発党ではその底にある謎がつかめないので恐怖党とでもした方がいいという気がする。これは汚職が発生するということで開発を恐れ民主党という良い子党のブランド名を傷つけるのを恐れ、政策といえば反タクシン政策だけでタクシン元首相が全国制覇を狙っていると国民に恐怖感を与え続けているのを見ると当たっているという気がする。



2013/04/26

<สองล้านล้านบาทประเทสไทยได้อะไร>


<2億バーツでタイは何を得るのか>

2558年、2年後に迫ったアセアン経済共同体(Asean Economic Community) では、タイは地理的に中央部にあるという幸運に恵まれているが、この中央部にあるという有利性を生かすには各国をつなぐ輸送手段が大切になるだろう。また国内においてもすべての機能がバンコクに集中する現況では企業や人を含めて富はバンコクに集まるだけでという状況になっている。このような格差がバンコク都民による地方、田舎への偏見と差別を助長させ何年と続く国民間の抗争へと発展したのではないだろうか。

現在第一読会を通過して第二読会である委員会でどのような法律にするのか論議されている2020年タイランド法では2兆バーツを借り入れてタイ国内で何十年と見過ごされていた主に鉄道を使った輸送手段の発展である。このプロジェクトの目玉である新幹線ができたならバンコクと地方との移動時間は短縮されバンコクと同格の都市ができる可能性もあり格差も少なくなってくるだろう。このプロジェクトの80%は鉄道に対するもので7年間で現在の総路線4,043kmを5,097kmに延長して、路線の複線化は368kmから3,215kmに延長される。これまでは47県だけに鉄道の恩恵があったのが53県に増え1日あたりの鉄道便数は200便から800便になるということである。

また目玉の新幹線は2565年完成予定のバンコクーチェンマイ間を除いたバンコクーナコンラーチャシマー、バンコクーラヨーン、バンコクーフアヒンの3路線は5年後の2561年の完成予定ということである。また将来はこの新幹線も隣国とつながり中国、シンガポールへも新幹線を使って行けるようになるということである。


2013/04/25

<พ.ร.บ.ไทยแลนด์ 2020>


<2020年タイランド法>

タイ国内輸送を変える2兆バーツの大型プロジェクトである2020年タイランド法のもとで開発される新幹線はバンコクーチェンマイ、バンコクーコラート、バンコクーフアヒン、バンコクーパタヤーラヨーンの4路線で、今のところバンコクーチェンマイ間を走る路線は次の5路線から選んでいくということである。

1,現在のバンコクーチェンマイの路線676kmで停車駅はバーンスー(バンコク)ードーンムアンーアユタヤーロッブリーーナコンサワンーピジットーピッサヌロークーウッタラディットーデーンチャイーラムパーンーラムプーンーチェンマイの12駅である。

2,1,より距離を短縮して631kmになる路線で停車駅はバーンスー(バンコク)ードーンムアンーアユタヤーロッブリーーナコンサワンーピッサヌロークースコータイーシーサッチャナライーラムパーンーラムプーンーチェンマイの11駅である。

3,新しい路線でアユタヤからナコンサワンに入る路線で607km、停車駅はバーンスー(バンコク)ードーンムアンーアユタヤーロッブリーーナコンサワンースコータイーシーサッチャナライーラムパーンーラムプーンーチェンマイの10駅である。

4,チャオプラヤー川の西を通る新しい路線594kmで停車駅はバーンスー(バンコク)ードーンムアンーアユタヤーシンブリーーチャイナートーウタイタニーナコンサワンースコータイーシーサッチャナライーチェンマイの10駅である。

5,1,と2,の路線を混ぜた路線661kmで停車駅はバーンスー(バンコク)ードーンムアンーアユタヤーロッブリーーナコンサワンーピジットーピッサヌロークースコータイーシーサッチャナライーラムパーンーラムプーンーチェンマイの12駅でこの路線が一番有力だということである。


2013/04/22

<ทำเพื่อคนเดียว>หรือ<ทำเพื่อประชาชน>


<一人のためにやる>あるいは<国民のためにやる>

今回の立法定例会期でプアタイ党所属ウォラチャイ・ヘーマ下院議員と42人の議員により提出されていたクーデター以降に起こった政治集会で逮捕され刑務所にいる国民を助ける恩赦法は会期末の18日に賛成多数で次回8月に開催される一般定例会期において最初に討議されることになった。2554年にプアタイ党政権が発足して以来、懸案になっていた恩赦法はまたもや国会での案件になったわけである。野党民主党においてはこの法案を...นิรโทษกรรมอำพราง(偽装恩赦法)と名付け案件提出者が主張する<国民のため>の恩赦法ではなく<一人のため>の恩赦法であるということである。もちろんこの一人とは民主党が一番恐れているタクシン元首相であるのは間違いない。

7項目ある恩赦法の第3項目にはこの恩赦法は赤服、黄服およびすべてのグループに適用されるが、指導的立場にあった者は含まないとしているが民主党の想像ではタクシン元首相は集会そして騒乱期間中にタイ国内にいなかったということで指導的立場にはなかったという解釈で恩赦法がタクシン元首相にも適用されると想像しているようである。また第7項目では政治集会に参加して判決を受けた被告の判決を無効とするとしているが民主党の想像ではタクシン元首相の判決も無効になると想像して恐れているようである。


2013/04/17

<ไทยดูถูก-รุกราน>


<タイは見下して侵犯した>

15日に始まった国際司法裁判所においてのタイとカンボジアとの口頭においての声明ではカンボジア側からの声明で始まった。タイトルの<タイは見下して侵犯した>は翌日の16日、Thaipost紙の1面の見出しである。まったくその通りなので思わず買いそうになったがThaipost紙は15バーツで常に買っている新聞よりは5バーツも高いのでやめたわけである。Thaipost紙のキャッチフレーズはอิสรภาพแห่งความคิด(意見の自由)ということであるが、実際はかなりの保守で反タクシンである。思想や考えが反タクシンならわかるがThaipost紙も一部の団体や政党と同じで自身の考えがないので反タクシンを売り物に客を集めているように思われる。

今回の国際司法裁判所の訴えがどうして必要だったのか声明でカンボジアがはっきりと言っているのは2552年から2554年の間に3回起こったタイのアピシット政権下でのカンボジアに対する侵犯で兵隊と国民が犠牲になりプレアヴィヒア遺跡にも多大な損害なった悲劇に基づいていて、この先このような悲劇が二度と繰り返されないように領土問題を解決したいということである。タイ側は今回の国際司法裁判所での口頭による声明を同時通訳を入れてテレビとラジオで報道しているが、考えてみるとカンボジア側のこの声明を国民に知ってもらい、もし最悪の場合は曖昧な緩衝地帯がカンボジア領土になることについて何が原因でこのようになるのか国民に理解してもらうのが理由であるという気がする。


2013/04/16

<ไม่เจ๊าก็เจ๊ง>


<引き分けでないとおしゃかになる>

タイトルは今年の1月にスラポン外相が国際司法裁判所のプラウィハーン遺跡の判定についての発言で、要約するとこの領土問題は2505年の国際司法裁判所の判定で決定したことでプリア・ヒビア遺跡はカンボジアの領土内で問題になっている4.6㎢の土地については引き分けにしてこれまでのように曖昧にしておかないと、この土地もカンボジアの領土になりすべてがおしゃかになってしまうということだろう。

2505年に国際司法裁判所が判定した点は次の3点である。この中には問題になっている4.6㎢の土地がどちらの国の領土であるかは触れられていない。カンボジアはこの点をはっきりさせようとして再解釈を要求しているわけである。
(1)プラウィハーン遺跡はカンボジアの主権のもとにある。
(2) タイはプラウィハーン遺跡近辺から軍隊と警察を撤退しなければならない。
(3)タイはプラウィハーン遺跡から持ちだした遺物をカンボジアに返還しなければならない。

4月15日から始まる口頭における声明のタイ側の主張は次のとおりである。
1,今回のカンボジアの訴えは2505年の判定の解釈ではなく新しい訴訟なので国際司法裁判所は
解釈する権限がない。
2,プラウィハーン遺跡近辺の緩衝地帯についてタイとカンボジアは争ったことがない。
3,タイが思うには両国が自国領だと主張している4.6㎢はプラウィハーン遺跡とは関連がなくカンボジアが独自に世界遺産登録した時から始まった新しい問題だと考える。

では今年末になると予想されている判定で国際司法裁判所がどのように判定するか次の2項目が予想される。
1,2505年に判定を下しているので今回の解釈の要求に対しては権限がないとする。
2,曖昧になっている緩衝地帯4.6㎢の範囲を拡大解釈する。
1の判断に場合はタイに有利で2の場合はタイに不利になり4.6㎢がカンボジアの国土になる時は自称愛国主義者は国際司法裁判所を認めないという意見がでてくるだろう。しかし国際司法裁判所は国連下にある機関でこの機関を認めないということは国連を認めないということだろう。そのようなことが現在の状況で出来る訳がなくかなりの激しさで起こると予想されるモップを抑えることができたとしても現政権にとっては大きな痛手になるのは確かであろう。愛国主義に一度火がつくと少しでも反対をすると反愛国あるいは売国という言葉で反撃されてしまうだけで常識ある考えは出しにくくなるだろう。


2013/04/13

<รักชาติ>กับ<คลั่งชาติ>


<愛国主義>と<国粋主義>

タイの未来において障害になっている国境問題はカンボジア国境にあるプリア・ヒビアだろう。元々は2505年の国際司法裁判所のプリア・ヒビア遺跡はカンボジア領であるという判定で解決していたはずなのが、46年もたった2551年にクーデター以降に勢力を伸ばしたパンタミットを中心とする自称愛国主義者により国内政治の対立相手を攻撃するための政治ゲームに利用され国境問題は混乱して一時はカンボジアとの武力を使った小競り合いになったというわけである。

2553年のプアタイ党の下院選挙勝利以降ますます勢力を衰退させてきた自称愛国主義者ではあるが、カンボジアが国際司法裁判所に対して訴えている2505年の判決において曖昧であった周辺地域の領有権の再確認への判定に向けた両国の口頭における声明が4月15日から19日に国際司法裁判所で行われる機会を利用して自称愛国主義者は国民の愛国主義を再度鼓舞してできればプアタイ党政権を覆したいようである。

46年もの間静かだったプリア・ヒビア遺跡1帯のタイーカンボジア国境が兵隊と住民の死亡という武力衝突を巻き起こした原因は、2551年にカンボジアがプリア・ヒビア遺跡を世界遺産登録しようとした時が始まりで、その時のサマック政権のノッパドン・パッタマ外相は国境上の曖昧な4.6㎢或いは3,000ライを緩衝地帯とすることでカンボジアと共同声明を出した。この時の政権の考えでは曖昧な土地を国際法で判定するよりは緩衝地帯にしておき両国で開発したほうが地元の人達のためになると考えたのだろう。しかしタイ国内ではこの共同声明が憲法190条に違反するという憲法裁判所の判決でノッパドン外相は辞職することになった。この点がバンコクに居る一部の自称愛国主義者の恐ろしいところで地元の平和と発展を無視した愛国主義は武力衝突を導き出し多数の住民が避難するということになった訳である。バンコクの一部の自称愛国主義者にとって遠く離れた国境地帯の発展など他人ごとで、それより愛国主義を利用して自分たちの利権を守り通すことに必死なのだろう。国境地帯に住む住民はタイ語とカンボジア語のバイリンガルであるし親戚は国境を超えて広がっていることを考えると国境線は地元の人達の頭にあるもので遠く離れたバンコク住む人達の頭の中にはないと考えるべきだろう。また愛国主義は心の奥に秘めておくべきもので旗印にするものではない。もしそうするなら武力衝突が起こり困るのは地元の人達だけである。

2013/04/10

<มาตรา68>กับ<มาตรา237>


<68><237>

2550年憲法
第六八条(クーデタ告発権)
人は本憲法に基づく国王を元首とする民主主義制度統治の転覆、もしくは本憲法が規定する方
法に拠らない国の統治権の奪取のために、本憲法に基づく権利及び自由を行使することはできな
い。
いずれかの者もしくは政党が第一段に基づく行為をなした場合、その行為を知った者は検察庁
総長に告発し、憲法裁判所にその行為の中止命令を申し立てる権利を有する。ただしその申立は
当該行為者の刑事訴訟には影響しない。
憲法裁判所が第二段に基づきいずれかの政党に行為の中止を命じた場合、憲法裁判所は当該政
党の解散を命じることができる。
憲法裁判所が第三段に基づく解散を命じた場合、解散命令を受けた政党の第一段に基づく違法
行為をなした時点における党首及び執行委員の選挙権を憲法裁判所の当該命令があった日から
五年間剥奪する。

第二三七条(選挙権取消)
衆議院議員選挙及び参議院議員選出についての憲法付属法令、もしくは選挙委員会の規則また
は布告への違反となる行為をなし、あるいは別の者が違反するよう支援し、結果として選挙を公
正かつ公平でなくした立候補者は、衆議院議員選挙及び参議院議員選出についての憲法付属法令に基づき選挙権を剥奪する。
第一段に基づく者の行為について、政党の党首もしくは執行委員がその行為を認知、または放
置し、あるいは知っていながら公正かつ公平な選挙のために制止または解決しようとしなかった
と信じられる証拠が明らかであれば、その政党は第六八条に基づく本憲法が規定する方法に拠ら
ない国の統治権の奪取行為をなしたものとみなし、憲法裁判所がその政党の解散を命じた場合、
当該政党の解散命令日から五年間にわたってその政党の党首及び執行委員の選挙権を剥奪する。

2556年4月1-3日に渡り上院と下院が参加する国会での憲法改正動議は賛成多数で第一読会を通過したわけであるが、この間上院任命40人グループによる憲法改正は違憲であるという訴えが憲法裁判所に提出され憲法裁判所は受理した。特に68条第二段にある”その行為を知った者は検察庁総長に告発し、憲法裁判所にその行為の中止命令を申し立てる権利を有する”というのが問題なようである。憲法改正動議を出した与党と上院選挙グループの議員連はこの文面通りに告発は検察庁総長にするものであって憲法裁判所ではないということをはっきりさせたいようである。これに対して野党及び上院任命グループは憲法裁判所にも告発を受理する権限があるとしている。今回の訴えを憲法裁判所がどのように判断するかは非常に重大なことで、もし条項ごとの憲法改正が68条に触れ止まるようなことがあると憲法改正は行き詰まってしまうことになる。