2011/08/28

<ピーヤイ>と<ナーイヤイ>


<พี่ใหญ่>กับ<นายใหญ่>
  
初めのピーヤイは大きい兄で長兄のこと、普通は階級に応じて上の人ならピーで下の人ならノーンと呼ぶようだが、こちらのヤクザ映画などを見ていると兄貴という感じで使っているようである。次のナーイヤイのほうはナーイが長、頭、主人、旦那という意味なので大旦那という感じかもしれない。今のところニュースでナーイヤイと一番良く呼ばれているのはタクシン元首相である。選挙以降はテレビにも出るようになり新聞でも紙面の半分を使ってインタビューを載せている新聞もある。これまでは直接出るようなことがなかったような気がするがやはり検閲に引っかかっていたのだろうか。今日の新聞ではアラブ首長国連邦のドバイにあるコーヒーショップで「人というのは友人といるべきで、もしいないなら今の私のようだ。一人でいるのは死ぬほど寂しくどこへ行けばいいのか誰と話せばいいのか、暇なときにいつも来るのがこの店なんだ」とタクシン元首相は心の中を語っている。しかし今回の選挙期間中の新聞を読んでいるといまだに影響力はまったく衰えていないようでナーイヤイそのものである。現在紛糾中の閣僚指名争いで不満のある議員はドバイ詣でをするということである。

写真は発売されたばかりの今週の週刊マティチョンでタイトルはเราชนะแล้วพี่จ๋าで訳せば「兄ちゃん私たち勝ったわよ」ということである。タクシン元首相は10人兄弟の長男で末っ子のジンラック首相とは18才の差があり自分の子どものように可愛がってきて一番信頼を置いているようである。


2011/08/25

<セークー>


<แซ่คู>

セークーと読みセーは漢字では姓でクーは丘である。タイに住む中国系の人たちで名はタイ風にするが姓はこのように中国風にする人も多いようである。1938年チェンマイで絹の商売で成功していたサックはセークーという姓をタイ風のチナワットに変えてサック・チナワットと名乗るようになった。サックの世代からチナワット家は華僑色を弱め同化の傾向を見せ始め官僚になるものもでてくる。このサックの孫がタクシン元首相で彼も丘達新という中国名を持っている。そしてアピシット前首相も客家で三国志で有名な袁紹と同じ袁(Yuan หยวน)という姓を持っている。

選挙の勝利宣言から連立する政党も決まり299議席で政権を運営していくことになったジンラック首相であるが、当初はビジネスを続けたかったようであるが今回が最もいい機会であるということでタクシン元首相に説得されたようである。この抜擢はタクシン元首相が予想した以上に国民の人気を呼び起こし圧倒的な勝利になったようである。しかし彼女の能力を疑う人もいるが仕事が出来るというのは確実だと思う。それは彼女もタクシン元首相と同じく客家の4代目だからである。

中国が清のとき1850年から1864年にかけて広東省、広西省から始まった太平天国ではこの辺りに住んでいた客家が中心になっている。太平天国の指導者である洪秀全は広東省花県の客家で主な指導者も同じく客家である。太平天国の軍は男性宿舎と女性宿舎がはっきりと分かれていて女性も戦闘に参加したようである。大切なのは客家の女性はそのころ中国にあった習慣であるてん足を絶対せずに働き者であったということである。

※ てん足、纏足
中国で、女性の足を大きくしないため、子供のときから親指を除く足指を裏側に曲げて布で固く縛り、発育をおさえた風習。唐末ごろに始まり、宋代から流行したが、清末に廃止運動が起こり、清滅亡後消滅した。


2011/08/23

<小政党>と<大政党>


<พรรคเล็ก>กับ<พรรคใหญ่>
  
選挙のあとの7月4日のテレビ番組「ジョカーオデーン」でチャートパッタナープアペンディーン党のスワット代表相談役は、7議席に減ったという悪いこともあったが連立与党に参加できいいこともあったのではという、番組進行役のソラユット氏の質問に間髪を入れずに、すべては国民にとって良いことで選挙が無事終わり民主党もあっさりと敗北を認めプアタイ党は過半数を得たことで安定するだろうし、今日の株価の上昇を見ると外国資本もタイが安定すると判断して投資も増えるだろう。しかし選挙結果を見ると中小政党にとっては厳しい状況でこれからは2大政党のもとで地元により密着した活動をやって行くしかないのではということである。

今回の選挙結果を見ると34議席のプームジャイタイ党はブリラム近辺で19議席のチャートタイパッタナー党はバーンハーンブリーとも呼ばれるスパンブリーが中心で7議席のパランチョン党はこれもガムナンポォが支配してきたチョンブリーで同じく7議席のチャートパッタナープアペンディーン党はチャートチャーイ・チュナハワン元首相から因縁深いコラートになるだろう。では2大政党はどうかというともちろん民主党は南部でプアタイ党は北部と東北部ということになり、バンコクはその時のフィーバーにより変わっていくということだろう。原因として考えられるのは制度上では今回からまた小選挙区制になったことに求められるが民主党が東北部イサーンに入り込めないのは、この党にあるエリート主義というか地方、田舎への差別と蔑視だと思う。おそらくアピシット元首相はイサーンのことはまったく分からないし理解しようともしていないだろう。民主党党首を辞めたあといずれは国連機関に行ったスパチャイ氏やアセアンに行ったスリン氏のように
国際機関へ行くような気がする。


2011/08/19

<喋ればしゃべるほどますます好きになる>


<ยิ่งพูด ยิ่งรัก>

今回の選挙期間中に見かけた雑誌の表題でジンラック女史が演説すればするほど好きになる人が増えてきたということをタイ語の基本文型であるยิ่ง...ยิ่ง~すればするほどますます~というのを使い語呂合わせをしているのだと思う。初めてスージット先生からタイ語を習ったときはยิ่งมากยิ่นดี(多ければ多い程良い)と習ったのを思い出した。

選挙の結果であるがまずは3日のテレビにでていたラックプラテートタイ党のチューウィット党首の話からする。当初は2議席がやっとだと思われていたが4議席になったチューウィット党首は気を良くしたのか民主党の敗因を述べていた。一番の敗因は国民の生活で一番大事な生活必需品の品薄と高騰を解決できなかったことで二番目は92人の死者をだしたことに対する責任をとっていないことだということである。これは敗因でプアタイ党を勝たせてしまった理由はプアタイ党とジンラック首相の一番の欠点を45日間の選挙期間中の当初から攻撃せずに終わりの頃にやっと始めたということである。一番の欠点とはタクシン元首相で彼の考えではジンラック首相はタクシン元首相とDNAを同じくするクローンであるということである。今のところはそうだとしても何ヶ月か先には変わってくるだろう。

タイの未来を決める大切な選挙結果はプアタイ党265議席、民主党159議席でプアタイ党は過半数を超えてタイで初めての女性首相が登場することになる。有権者数は4,700万人でその内の74%の3,480万人が投票に参加したということである。
この5年間、タイの人たちを無視して好き放題にしてきた「見えない権力」は何らかの方法を考えていると思うが3,480万人の意思を無視するなら今回こそは墓穴を掘ることになると思う。


2011/08/14

<同じ空のもとでのタイの未来>


<อนาคตประเทศไทย ใต้ฟ้าเดียวกัน>
  
写真は71日にバンコクの2ヶ所で開催された民主党とプアタイ党の最後の選挙演説でこの時の民主党のスローガンは<同じ空のもとでのタイの未来>ということで民主党には学者と法律家が多いと聞いていたが詩人もいたのかと思うようなスローガンではある。ちょうど夕方の5時に始まったときには雨が降り始め両首相候補が舞台に上がる7時には大雨になってきたが、東北部126議席、南部53議席を両党がどれだけ獲得できるかは予測できているはずで大切なバンコクの36議席を獲得するために雨の中での最後の演説で国民に訴えている二人を見ていると選挙は本当にいいなと思いを深くした次第である。

政治を変えるのは選挙であって戦車ではないはずと強調したのはプラティープ女史であるが、2006919日に戦車をバンコクに入れた当時のソンティ陸軍司令官はマートゥプーム党を結成して党首になっているが、今回に選挙運動期間中のテレビのインタビューで戦車をバンコクに入れたのは民主主義に基づいた改革だと言っていたので驚いたことがある。戦車のあとにはテレビのすべてのチャンネルが真っ暗になり少しすると今まで見たことのないアナウンサーが出てきて声明を繰り返して読み上げている。今回調べるとアナウンサーはプラパート氏でクーデターの声明を何度も読み上げたことのある有名なアナウンサーだということである。他のチャンネルに変えても同じ画面で好きなチャンネルを見ることができるのが民主主義だとすれば戦車でなく選挙で国の指導者を選んで欲しいというのがタイの人たちすべての願いだと思う。


2011/08/13

<タイのビジョン 2020年>


<วิสัยทัศน์ ประเทศไทย 2020>

すべての尊敬して愛するタイの兄弟達へ、そろそろ投票日です。国の経営を担う各々政党が国と国民をどの方向に連れていこうとしているのか兄弟たちは知りたがっていると思う。そこで私(ジンラック候補者)は先進国と競争ができる2020年のタイのビジョンを示すことにしました。今回の選挙でプアタイ党が公約する政策をプアタイ党のもとで継続してできるなら2020年にはタイはどのようになっているのかは次のとおりです。

1,GDP8,000億ドルになり国民のすべてが貧困ラインを超えた収入を得ている。すべての家族は家を持つことができ農民は自身の土地で生活することが出来ている。

2,1日の最低賃金は1,000バーツになり大卒の新入社員の給料は30,000バーツになっている。

3,すべてのタイ人は健康で安全な食料があり最新医療を受けることができ、全国どこでも運動とスポーツができるようになる。そして麻薬は撲滅されている。

4,若者は道徳と美徳をともなった最新の教育を受けることが出来ている。

5,起業家と実業家は現在の2倍になっている。

最近のタイ字紙マティチョンに掲載されたプアタイ党の2020年における構想であるが、未来を語れるのはいいことだと思う。9年先のことであるが自分の子どもが大きくなっていくタイ社会がこのようになっていたらとつくづくと願ってやまない。写真はまたジンラック女史が子供を見つめている写真にした。いろんな選挙演説における彼女の写真を見たがやはり子どもを見ているときが一番いいように思う。多分彼女もこの子供たちの未来を考えてビジョンを作ったのだと思う。


2011/08/08

<棄権投票 Vote No >

<โหวตโน>
  
パンタミット(黄服集団)がやっている選挙キャンペーンで写真にあるスローガンは「野獣を放して議会に入れるな」ということであるが、犬、オオトカゲ、水牛はタイの会話の中で相手を罵る言葉として使われるので分かるのだがサルとトラは付け足しのような気がする。選挙管理委員会はこれらのポスターを違法として撤去しようとしているようだが効果はないようである。棄権投票はまだましで過去には議会制民主主義のもとでの政党にもかかわらず選挙候補者を立てずに選挙を無効にさせてしまった政党がある。
2005.02.06  タイラックタイ500議席中の375議席を獲得して選挙で圧勝
2006.02.24 強力な政党を嫌う圧力のもとに下院解散
2006.04.02 民主党がボイコットをした下院選挙
2006.09.19 クーデター

2005年の選挙で96議席と大敗した民主党は選挙では勝てないのを悟ったのか2006年の解散選挙をボイコットしてしまう。この時期はタイラックタイを率いるタクシン元首相の強権政治に嫌気をさす国民も出始め選挙ではどのような結果がでたかもわからないにもかかわらず民主主義の基本である選挙をボイコットした民主党はこれ以降は選挙以外の権力または民主主義の外にある権力に依存していくようになっていく。今回の73日の選挙に向けて民主党は敗北を意識したのかそれまでの政策キャンペーンを和解からはほど遠くなるネガティブキャンペーンに変えた。タクシン元首相を攻撃するだけで国と人々の未来を描き出せない民主党は2006年の選挙をボイコットした時点で下院議員も選挙ではなく任命制によるというパンタミットの考えに傾き民主主義を放棄したのかもしれない。


2011/08/06

<コメは入手し難く木の実は高価>


<ข้าวยากหมากแพง>

最近の新聞によくでてくることわざで「コメは入手し難く木の実は高価」
という訳になり食料が少なく物価が高いという意味である。
Maakはキンマと一緒に噛むビンロウジと思っていたら本来の意味は
木の実だということである。食料自給率150%のタイで食べ物が
不足しているとは考えられないのだが、アピシット政権では実際に
食用油と卵がスーパーの食品棚から無くなったことがあった。

選挙運動も最後のカーブにかかり各党の党首は選挙応援演説で
各地を回っているが、これまでは警察と軍のガードに囲まれ国民と
直接に接したことがなかったアピシット前首相はここに来て国民から
演説中に罵声を浴びているということである。一つは物価の問題で
もう一つは昨年の赤服集会を鎮圧した際にでた91人の死者と
2,000人の負傷者そして未だに刑務所にいる300人の逮捕者、
特別調査委員会を立ち上げ1年間もの期間を調査しても
誰が命令をして誰が国民を殺したのか分からないということである。

アピシット前首相の答えはいつも赤服集会側に黒服を着た訓練を
受けたガードがいて彼らが発砲したので軍は発砲し返したという
あいまいな返答ばかりで黒服のガードが逮捕されていない状況では
このまま真実を隠し通そうとする意思が国民にはみえみえのようである。

どうして国民に向けて発砲したのか、どうして実弾を使ったのか、
いったい誰が命令を出したのか、アピシット前首相はどこに行っても
国民から問い詰められるし、また生涯をかけて問い詰められる
重大なことで彼がどこまで答えられるようになるかという重大な
選挙だと思う。


2011/08/01

<おしゃべり >と<行動>

<พูด> vs <ทำ>

市場をぶらぶら歩いていると新聞を売っているカウンターに
雑誌があり<พูด> vs <ทำ>という大見出しが目についた。
これは73日に行われる選挙に関してのことでおしゃべりは
民主党で行動はプアタイのことである。プアタイの首相候補が
タクシン元首相の妹ジンラック女史になったことにより民主党
の党首であるアピシット前首相はさっそくディベートをしようと新聞紙上で
誘いかけたようである。しかしなんら政治経験もないジンラック女史が
ディベートに自信があるアピシット前首相に敵うわけがなく
プアタイではディベートではそれ以上に迫力があるチャローム氏を
たてようとしている。このディベート上手であるが国民に言わせると
民主党はおしゃべり上手で行動がないということである。

この1年間、新聞から遠ざかっていたがここに来てやっと新聞を
読むようになり社説が面白いということでマティチョンを毎日買って
読んでいる。519日にラーチャプラソンで開催された赤服集会
1周忌を受けた20日のマティチョンの社説をかいつまんで書くと
次のようになる。

昨年の518日までには政府と赤服双方で和解に向けた話し合いが
進んでいたのにどうして政府は急に武力で鎮圧したのか、その結果、92
もの死者を出してしまった。そして1年経つのに真相は隠されたままである。
今回の選挙が民主党とプアタイとの対決だと考えるのは間違いで
真相を隠し通そうとするグループと真相をはっきりと国民に知らせるのが
当然だと考えるグループの対決の選挙であるということである。